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第156回 LINDA HOYLE "Pieces Of Me"

LINDA HOYLE- "Pieces Of Me"
1971 UK VERTIGO 6360 060
(Progressive Rock)

RARE:★★★★★★★★

Member : 

Linda Hoyle(vo), Chris Spedding(g), John Marshall(ds),
Jeff Clyne(b), Karl Jenkins(key), Colin Purbrock(key)


Side (A)
1. Backlash Blues
2. Paper Tulips
3. Black Cow
4. For My Dariling
5. Pieces Of Me


Side (B)
1. Lonely Woman
2. Hymn To Valerie Solanas

3. The Ballad Of Marty Mole
4. Journey's End
5. Morning For One
6. Barrel House Music


アフィニティのヴォーカリストとしてブリティッシュプログレファンの 間では名高い名ヴォーカリストのソロアルバム。

初めてアフィニティを聴いた時は、気品あふれるジャケットの割には、 なんて雑然としたサウンドなんだろう、まるで「ぶんぶく茶釜」の ようだな・・と思った覚えがありますが、聴けば聴く程にそんな考えを 改めさせられた覚えがありあます。年を重ねていく程、また聴きこんで いく程に、音がジャケットに近づいていくというヴァーティゴならでは の不思議な魅力を持っているのがアフィニティでした。

が、今日ご紹介する彼女のソロアルバムは、そんな聴き込む程良くなる系 のアフィニティとは違って、初めて聴いたその瞬間から確実にその良さが 伝わってくる内容で、ロック/ブルース系の人々をも魅了するに違い ありません。

もともとハードロック一筋だった私のような人間からすると、ジャケット ではアフィニティに軍配があがるかも知れませんが、内容ではこちらの方 が一枚上であると言いきっても良いんじゃないかと思います。

A-1のこのブルースっぽい出だしと、のっけからのバカテクのヴォーカル。 そして盛り上がり部分で豪快に切りこんでくるクリス・スペディングの 一世一代のギターソロが絶品。「これぞ、ブリティッシュブルース!」と 叫ばずにはいられないかっこよさで、単なる女性ヴォーカルのソロ アルバムだと思ってなめてかかるとえらい目に遭います。

彼女のヴォーカルとヘヴィ・ブリティッシュ・ブルース・ギターのせめぎ あいは、ヴァーティゴ名勝負数え唄のひとつにあげても良いでしょう。
そして一転してクールダウンしたA-2は、激しかったA-1の反動で 美しさが倍増する、沈みゆく夕日を思わせるような懐かしい感覚のする 名バラードに仕上がっています。

A面/B面とも、激しく豪快なナンバーと美しいバラードが適度に交互に 配置されていてそのへんの構成も見事と言う他ありません。

このアルバムが他のフィメール物と一線を画しているのは、バラードでの 彼女の声のつやにあるんじゃないかと思います。ゆったりした曲で静かに 歌っている時の声は溜息が出るほど美しく、こんなにつやのある声は そうそうお目に掛かれるものじゃありません。

トラッド・フォーク系のヴォーカルが束になっても敵わないような素材の 良さを十分満喫できるアルバムです。


(2004.07.10)