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第357回 PALADIN - "Same Title"
   1971 UK BRONZE ILPS9150 (Hard Rock)
RARE度:★★
Member :
Keith Webb(ds), Peter Solley(key,violin),
Peter Beckett(b,vo), Lou Stonebridge(vo,key),
Derek Foley(g,vo)
Side (A)
1. Bad Times
2. Carry Me Home
3. Dance Of The Cobra

Side (B)
1. Third World
2. Fill Up Your Heart
3. Flying High
4. The Fakir



PALADINというと、どうしてもロジャー・ディーンのジャケットで有名な2ndアルバムばかりに注目が集まりがちですが、こちらはその2ndとは一変して地味渋ジャケットのデビュー・アルバムです。もしかしたら、このアルバムジャケがあまりにも地味すぎて目立たなかったために、2ndを心機一転かっこいいジャケットにしたのかも?と考えすぎるくらいです。

しかし、2ndアルバムにはやられました。

ハード・ロックだけをひたすら追求していた若い頃に、ハード・ロックの解説本のようなもので、2ndのジャケットを見て、なんてかっこいいジャケットなんだろうと。「ロジャー・ディーン」なん名前すら知らずに、とにもかくにも、このかっこいいジャケが欲しくて欲しくて、レコ店の壁に貼ってあったのを見つけたときは思わずガッツ・ポーズでした。

ところが、うちに帰ってドキドキしながら高まる期待を抑えきれずに針を落とすと...

もちろん今では楽しく鑑賞するお気に入りの一枚も、とにかく「ヘヴィーじゃなきゃロックじゃない」なんて思い込んでいた時期ですから、ジェリコ(JERICHO)みたいな音が出るんだろうと想像していただけに、なかなかの落差にガックリした事を告白いたします。あれ程までに騒がれているレコードですから、悪いはずはないんですが、若い自分にとっては忘れられない出来事の一つです。

さて、このバンドは、元々かのテリー・リード(Terry Reid)のバック・バンドの面々が結成したバンドということで、後にプロコル・ハルムに加入するPeter Solleyも在籍。凄腕ミュージシャンの集団です。

2ndで味わったほどのジャケットとサウンドとの落差はありませんが、この1stも、すわハードロックかヘビメタかという第一印象は、針を落とすや否や裏切られることになります。

まずA1で、いきなりラテン・テイスト!!やや明るめのヴォーカル、きれいなリズム・セクション、ゆったりとした流れで、夏の午後のそよ風にあたりながら、のんびりソファに座ってパッションフルーツジュースでくつろいでいると、だんだん雲行きが変わってきて、過激なハモンドが登場するとなんだか全員が疾走体制に入ってきて、ドラムスも負けじと暴れだします。ギターも黙ってはいられません。 ファンキーなリズムと熟練の演奏が、素晴らしい疾走感を呼び、冒頭に感じていたそよ風は疾風に変わり、まどろんでいる場合ではなくなります。だんだんブリティッシュさが隠せなくなり、HR感が出てきて、そしてドラムスのプチ・ソロ。おおおぉ、かっちょいぃぃ! !

スローナンバーを挟み続くインスト曲のタイトルは「ダンス・ウィズ・コブラ」では、体をゆすりたくなる衝動を抑えることができなくなり、気分はコブラです。

B面も、やはり少しミドルテンポのラテンのリズムが始まり、洗練されたピアノがシャレオツです。更に、ラテンの風味に正統派ブリティッシュ・ハードがかぶさり、テンペスト(TEMPEST)のようでもあり、暑いのに爽やかとでも申しましょうか、コジャレています。オツです。技術がしっかりしているので、間奏でのギター・ソロが異常にかっこよく、バックでのハモンドも盛り上げ、いつまでも聴いていたい気分になってしまいます。

A面の冒頭で夢見心地になって、そのまま世界をめぐる夢を見ていたのかも!?という展開で、最後にはたどり着く中東で不思議な旅は終わっていく...そんな感じの解釈がしたくなるのです。

ラテンのリズムを多用しているのに、ハモンドが暴れまくり、ドラムは独走、ギターがよく鳴る曲に、グッとくるのもあり、一言でいえばヴァリエーションが豊富。ちょっとジャケからは想像できないバラエティさ。見た目とのギャップが実に魅力的な一枚です。人間だって見た目じゃないさ、と勇気ももらったし、こちらも中身とのギャップで驚かせてみたいものです!?


- 4601711 PALADIN/Same → http://bit.ly/111xm6Q
  
(2014.11.12)