BACK TO HOME

第280回 BRAINCHILD "Hearing Of The Lunatic Owl"

BRAINCHILD - "Hearing Of The Lunatic Owl"
1970 UK-A&M AMLS979
(Progressive Rock)

RARE:★★★★

Member :

Harvey Coles(b,vo), Bill Edwards(g,vo), Dave Muller(ds),
Chris Jennings(key), Brian Wilshaw(saxes, flute),
Lloyd Williams(trumpet), Ian Goss(Trombone),
Pat Strachan Trombone)


Side (A)
1. Autobiography
2. Healing Of The Lunatic Owl
3. Hide From The Dawn
4. She's Learning


Side (B)
1. A Time A Place
2. Two Bad Days
3. Sadness Of A Moment
4. To "B"


いかにもブリティッシュ・のアングラ然とした素晴らしいジャケット・アートワークが不気味な魅力を放っています。

コレクターの間では、半人、半獣の合体系ジャケットとして、かのウェブWEB)の名作アルバムのジャケットとともに有名な作品で、私のような素人が見るとえらく『ベタ』なジャケットに見えるのですが、ちゃんとした芸術家が見たらどう感じるのか、興味のあるところです。

コレクターならまず情報を収集し内容を確認してから現物にあたる、これが買い方の基本ですから『突然出会う』という状況は少ないにしても、一方で『ジャケ買い』なんて言葉も定着していることを考えると、『ジャケ買い』しても、外さないアルバムだと断言できます。しかも、コーティング・カバー!!!

出来ることなら、海外のレコード屋さんやレコード・フェアで、突然、こういうインパクトの強いジャケットに出会ってみたかった・・。

肝心の内容はというと、まずA面で針をおろすと、真夜中のニューヨーク(行った事ありません)に響くパトカーのサイレンのようなサックスのアダルトな音に『うわっしまった!プログレじゃ無いじゃねえか!?』 と思わず後悔の声をあげてしまいそうになりますが、そこはぐっと 耐えるところです。
ヴォーカルが入ってひとしきり歌いあげると、マイナー然としたベース・ラインとわけのわからないギターの音色に一気に引き込まれます。おお、これは深遠な英国魔境・・さすが、ブリティッシュ。

どんな楽器でどんな展開になろうと、シカゴCHICAGO)のように明るさが はみだしてしまうことがないのが英国っぽいのです。
突然の緩やかで 牧歌的な部分もなぜか、暗さをぬぐいされない。そこがブリ(略すな)の魅力です、はい。

妙に明るいピエロの裏の表情は実は不気味、みたいなアンバランスの持つ魅力がこの作品にはただよっています。
まるで恐怖映画の傑作『ソウ』 (怖いですよね・・)の殺人鬼の人形。ファニーな表情のくせにそれが逆に恐怖感を引き起こすというのに似ています。

ヴォーカルは湿り気あって良いです。雨の日に聴いたら最高の歌声です。

(2008.03.10)