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第160回 THE WHO "Live At Leeds"

THE WHO - "Live At Leeds"
1970 UK TRACK 2406 001
(Hard Rock)

RARE:

Member : 

Pete Townshend(g), Keith Moon(ds), Roger Daltrey(vo),
John Entwistle(b)


Side (A)
1. Young Man Blues
2. Substitute
3. Summertime Blues
4. Shakin' All Over


Side (B)
1. My Generation
2. Magic Bus



ハンブル・パイのライヴアルバムと並ぶブリティッシュ・ロック最強のライヴアルバムといえばコレ。ロンドンでの過激なライヴパフォーマンス で人気を獲得した彼らが発表した初のライヴアルバムです。

ジャケットはブートレグ(海賊盤)然としたユニークなもので、特殊な変形ジャケットと付属品として12種類にも及ぶインサート類が付いて いることや、タイトルの文字が赤字/青字/黒字と3種類存在すること等、コレクター泣かせな一枚でもあります。 ジャケットデザインだけでなく、なんと盤までもがブートレッグ風にわざわざスクラッチノイズまで入れられている徹底ぶり。

何年か前にこのアルバムの完全版がCDで発売されて、実はこのライヴには『トミー』の完全ライヴが全曲含まれていたというとんでもない事実が 判明し、ファンならずともぶっとんだことと思います。改めて人間の発掘力とは凄いもんだなと思ったりもしましたが、そんな発掘の衝撃も 収まった今、当時のオリジナル盤をもう一度聴き直してみました。

完全版やアウトテイクスが普通に出回るような昨今には、40分でしかも全6曲という長さは相当物足りない印象を受けますが、これはこれで集中して盛り上がるにはちょうどいい長さだと個人的には思います。

とくにLPだと片面20分で一回休憩が入るというのもいい感じで、最近のぶっ通しで60分も収録されている復刻ものは聴いているうちに 長すぎてだんだん頭がぼーっとしてきてしまうんですよね。BGMとして単に流しておくだけの音楽ならそれくらい長くてもいいのでしょうが、 正座して真剣に向き合うようなこの手の音楽は20分くらいがちょうどいいと思います。(これはもう年齢のせいだとも言えます。)

さて内容の方ですが、A-1の『ヤング・マン・ブルース』。これだけで試合終了です。月並みな形容になってしまいますが、凄すぎです。こんなの 誰もコピーできませんよね・・。映像をみるともっとその凄さに驚きますが、冒頭の破天荒なドラミングから次のブレイクに入るところまでは 奇跡としかいいようがない驚愕のアンサンブル!しかもこれがライヴとは!!!

彼らの場合、決してテクニカルなプレイを追求したわけではないのにもかかわらず、さらりとこんなプレイをしてしまうところにナチュラルな 才能というものの凄さを感じます。そんじょそこらのテクニカルなプログレバンドとは基礎体力が全然違うんでしょうねえ。ノールールの 試合を専門的に研究してきた人たちよりも、小川直也の方が実は全然強いのでは?というのにちょっと似ています。

それにしても、音だけでなく『画像』って重要ですね。特にこういうパワフルなパフォーマンスをするグループは。『どこが最高のライブ?』 って思われた方も多いはずです。実際、私のこのアルバムに対する印象も、映画『キッズ・アー・オールライト』を見てから一変でしたから。 音だけ聴いているともっと地味なグループかなと思ってしまうんですよね。特にヴォーカルなんかは聴いただけでは結構地味な印象ですし。 もっとも『画像』ではなくその場に居れたらそれこそ最高なんですが・・。

ちなみにファンなら言わずもがなですが、この『リーズ』は大学名です。他にも色んなアーティストがライブをしたみたいなんですが、これって いわば『ライヴ・アット・昭和女子大 人見記念講堂』みたいな感じなんでしょうか?(それも微妙な例えだな・・)

(2004.08.20)