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第153回 ITOIZ "Same Title"

ITOIZ - "Same Title"
1978 BASQUE XOXOA X11 101
(Progressive Rock)

RARE:★★★★★★

Member : 

Joseba Erkiaga(flute), A.Azkarraga(vo),
Estanis Osinalde(ds), J Perez(g), Jose Garate(b),
Jose A.Fernadez(key)


Side (A)
1. Phunzionariat
2. Goizeko Deihardar
3. Zati Txiki Bat La m'en
4. Lau Teilatu


Side (B)
1. Hilzori I
2. Hilzori II

3. Foisis Jauna
4. Astelehen Urdin Batean


スペインでありながらスペインとは一線を画すバスク地方。 政治的に難しい状況が続いている国で、スペインでバスクの名を口にする とちょっとあぶない雰囲気になるとも聞いた事があります。

そんな地方でありながら、そこで生まれたバスク音楽には特筆すべき 素晴らしい要素があり、フラメンコ色の強いラテン系の血を強く感じる スペインのプログレシーンの中において、異色の叙情派サウンドは 多くの人に衝撃を与えています。日本では西新宿の某店がいち早くバスク 音楽を紹介したことによって一気に注目を浴びるようになりました。

このように最近でこそようやく世界的に一定の評価を得てはいますが、 全てはこのグループから始まったといっても過言ではありません。

ここで紹介するITOIZというグループは、HAIZEAと並び称されるバスクの代表的なグループで、このアルバムは彼らのデビューアルバムです。 このアルバム以降彼らはだんだん洗練された感じになっていくのですが、この作品はそんな後期の作品にくらべるともっと赤裸々な叙情があふれ出ていて、この時期のこの国でしか出なかったであろう特異な作品。

ビヨ〜ン、ビヨ〜ンというキーボードと時々危なっかしいあまりうまく ないリズムセクション、それにヴォーカルもそれほどうまい訳でもない、なのになぜだかすごく惹かれるんです。なぜこの音楽に惹かれるのか 自分でも少し整理ができていないのですが、そうやってすぐ頭で考えて しまうのが日本人の悪いクセなんでしょう。

でもこのバスク語の語感というのは不思議な魅力があって、空耳アワーの 宝庫という感じで、初めてイタリアのプログレを聴いたときのような 新鮮な感じがします。

A面冒頭はそんなビヨンビヨンしたキーボードをフィーチャーした大曲と なっているのですが、曲が進むにつれだんだん良い感じになってきます。 そしてA面ラストに収められているアコースティックなナンバーが極端に出来がよく、生ギター1本をバックにたんたん歌っているだけなんです (後半ちょっとだけピアノもはいります)が、ものすごくいいんです。 めちゃくちゃうまい卵チャーハンを食べて「なっ、なんでこのチャーハン、 卵しか入っていないのにこんなにうまいんだ!?」とのけぞったときの ような驚きと感動で胸がいっぱいになります。

個人的にはもう少しアコースティックなナンバーを多く収録してもらいた かったなあと思いますが、そうしてしまうと逆に彼らのオリジナリティが 損なわれてしうのかも知れません。

ブリティッシュフォークファン、ユーロプログレファンのどちらをも満足 させる一枚です。

この後の2ndアルバムも1st同様マストな内容となっていて、特にB-1は 気絶必至です。



(2004.06.10)